メモ帳
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東京特有のしきたりである敷金礼金

大阪とは違うしきたりとして、東京では住宅を借りる場合には、敷金と礼金が必要となります。
これに前家賃が入ることから、引っ越しをするだけでも当月家賃を含め最低でも4か月分がなければいけないのです。
実際に借りる立場から考えると、非常に大きな負担であることは間違いありません。

この敷金と礼金ですが、実際どんなものかといえば、敷金は引っ越しの際に問題がなければ返還される性格のお金です。
礼金の場合には、料金として取られているもので返還の義務がありません。
そのため、敷金とは違うものであると解される点に注意が必要となります。

敷金は、ある意味で担保であると考えることができ、引っ越しの際に借主負担となるような不具合の修繕に使われるお金です。
つまり、何もなければ返してもらうことができると考えることができるでしょう。
しかし、実際には返還されずにトラブルになるケースも増えているのです。

礼金の場合には、謝礼的な意味合いがありますし、権利金と考えることもできます。
この二つの費用は、裁判になるほどの問題でもあり、大きなトラブルが後を絶ちません。

原状回復の問題と明文化

敷金のトラブルといえば、原状回復の義務の問題です。
修繕負担に使われるはずの費用なのですから、借り主に問題があった場合に使われるべきだといえるでしょう。
つまり、経年劣化などによって不具合が生じたものに関して、敷金は使われるべきではありません。

例を挙げるのであれば、日光によって畳の変色やフローリングの色落ち、構造上の欠陥などは、借り主はどうにもすることができません。
こうしたものは、貸し主が負担するものであって、敷金で直すものではないでしょう。
こうした問題はとても多く、裁判にもなっています。

そこで、敷金の返還義務に関して明文化されるようになりました。
もともと、敷金というものに明確な定義が存在していないのも問題なのですが、原状復帰に関してガイドラインも制定されるようになったのは大きなポイントです。

ただし、こういった明文化をされるようになると、さまざまな契約条件を書き込まれるようになります。
不動産業としても、自分たちが不利になるようなことは容認しません。
これまで以上に、契約内容を理解し、契約を結んでいくことが重要になったといってもいいでしょう。

トラブルがある一方でリスクに対する備えでもある

敷金や礼金に関して、確かにトラブルがある一方で、貸し主側から見るとリスク管理の一環であるという面があるのも確かです。
家賃を払わず夜逃げしてしまった場合などでも、敷金があることで原状回復させたり、未払い家賃に充てたりすることもできます。
預り金的な性格を持っているため、リスクを考えればもらっておきたいところのはずです。

トラブルになってしまうもとになるのは、大家との関係が希薄になってしまっていることもあります。
信頼関係で成り立っていた部分があったのにもかかわらず、関係を持つことを嫌ったために、意思疎通が成り立たない状況は間違いなく存在します。
その結果、だれの責任なのか、押し付け合いになってしまうことも出てくるのです。

どんな形にせよ、明文化されたことにより、線引きがはっきりしてきました。
その中で、いかに契約を理解し、借りるかということが重要になってきていますので、よく検討していかなければいけないのです。